建設業界における労働災害の実態
建設業界と聞くと、多くの人が「キケン・キツイ・キタナイ」といった3Kを思い浮かべるでしょう。しかし、これは決して間違っていません。
実際に建設現場に一歩足を踏み入れれば、常に生命の危険と隣り合わせであることがわかります。転倒、落下、感電、崩落といった危険が至るところに潜んでおり、一瞬の気の緩みが大事故につながる可能性があります。
メディアには取り上げられない労働災害
軽度な怪我や骨折、歩行困難になるような大怪我をしても、一般のニュースで報道されることはほとんどありません。ニュースになるのは死亡事故や意識不明の重体といった重篤なケースのみです。
しかし、現場では日常的に以下のような事故が発生しています。
- 手を切る
- やけどをする
- バランスを崩して転倒する
これらは、ほぼ毎日のようにどこかの現場で起こっているのが現実です。
労働災害を防ぐために
では、どうすれば怪我をせずに作業できるのか。基本的なルールは以下の5つに集約されます。
- 勝手な行動はしない
- 自分のスキルを超えた作業はしない
- 無理な体勢で作業をしない
- 近道行動(安全手順を省く行為)をしない
- 自分のペースで作業を行う
この5つを徹底するだけで、多くの事故を防ぐことができます。
作業を管理する側の役割
現場では、作業をやらせる側(監督・棒心)と作業をする側(職人)の連携が重要になります。
監督の役割
監督は、安全管理と工程管理を徹底することが最優先です。職人の作業を手伝うのではなく、作業環境の安全確保やスケジュール管理に集中すべきだと私は考えます。
棒心の役割
棒心(職長)は、職人への指示を的確に出し、できるだけ職人の行動を把握することが求められます。その際、職人のスキルレベルに応じた指示を出すことが、棒心としての最大のスキルでしょう。
とはいえ、口で言うのは簡単ですが、現実的には棒心も現場で実際に作業しなければならない場面が多いのが実情です。
労働災害を減らすために
最終的に、労働災害を減らすためには、
- 適切な工程管理
- 作業量に見合った請負金額の確保
- 無理のない人員配置
が重要になります。これらが整えば、無理な作業を強いることがなくなり、結果として事故のリスクも減るはずです。
安全第一の意識を持ち、一人ひとりが適切な行動を心がけることで、建設業界の労働災害は確実に減らすことができるのです。