建設業界の「見えない圧力」——元請けからの値引き交渉は本当に33.8%だけ?
本当に33.8%?現場の肌感覚は「半分以上」
日経クロステックの調査によると、「元請けから労務費を減額された」と回答した下請け企業は33.8%とのこと。
……それって本当でしょうか?
少なくとも私たちが現場で見聞きしている限り、体感では5割以上、特に元請けから一次下請けに対しては、もっと多くのケースがあるように思います。
見積もり後の“遠回しな値引き”が横行
見積もり金額に対して、
「この金額でいきましょう!」
と一度は合意したように見えても、実は最後に“人工(にんく)で調整”されるケースが少なくありません。
また、こんなパターンもよくあります。
- 小さな追加工事に費用が付かない
- 「お付き合いだから…」と値引きを迫られる
- 次回の受注をちらつかせての暗黙の値下げ
見えにくく、気づきにくい形で価格交渉が“当たり前”になっているのが現場の現実です。
一次以降の下請けは誠実な対応が増えている
一方で、一次下請けからさらに下の層になると、値下げやピンハネの動きは減っているように感じます。
もちろんゼロではありませんが、
「一緒に現場をつくる仲間として、対等な関係を築こう」
という意識が徐々に広がってきているようにも見えます。
物価高騰を背景にした“便乗値上げ”も
最近よく見られるのが、物価高を口実にした価格の吊り上げです。
たとえば、
- 宿泊費
- 交通費
- 電気代
- 消耗品費
など、企業運営に欠かせない費用が軒並み値上がり。
その影響で、1人工23,000円だったのが27,000円になったという事例も。
正当なコスト増は理解できますが、それを上回る「便乗値上げ」には要注意です。
このままでは、現場から人がいなくなる
元請けが値引きする。
一次がやりくりする。
そして末端の職人にしわ寄せがいく。
こんな構造では、現場に人が残りません。
これから必要なのは、
- 適正価格での発注
- 見えない値引きの“可視化”
- 立場に関係なく対等な取引関係
現場で汗をかく人たちが正しく評価される環境を、今こそ本気で考えるべき時だと思います。
おわりに
建設業界の構造問題は、決して簡単に解決できるものではありません。
でも、「おかしいな」と思ったことに声をあげることで、少しずつでも変化は生まれます。
このブログが、誰かの気づきや行動のきっかけになれば幸いです。