【特集】人手不足の本質は「職人不足」──現場を動かす“真の人材”が足りない現実
建設業界では「人手不足」が叫ばれて久しい。
しかし、その中身をよく見ると、単なる“人数”ではなく、“優秀な職人”が足りていないのが現実だ。
■ 仕事はあるのに、現場を動かせる人がいない
公共工事や民間リニューアル、設備更新など、案件数そのものは依然として多い。
だが、「職長クラスや腕の立つ職人がいないから受けられない」という声が、現場の至るところから上がっている。
「人は集まるけど、任せられる人がいない。安全も品質も段取りも、全部わかって動ける職長がいないと現場は回らない。」
実際、仕事があっても“断らざるを得ない”会社が増加している。
これは、単なる労働力不足ではなく、技術力と判断力を持つ人材の不足が深刻化している証拠だ。
■ 協力会社に頼る時代──でも、選び方を間違えると危険
こうした状況の中で頼りになるのが「協力会社」だ。
最近では、ネットを通じて他地域や異業種とのつながりを持つことも容易になった。
だが、「同業種だから大丈夫」と安易に下請けを依頼してしまうと、思わぬ事態を招くことがある。
「現場に来たのが“手元作業しかできない人”だったこともある。そうなると、棒心(中心的な職人)の負担が増えて、事故リスクも上がる。結局、元請けの評価まで下がってしまう。」
つまり、人を増やせば解決する時代は終わった。
今は「誰に頼むか」「どう連携するか」が問われるフェーズに入っている。
■ 現場力を取り戻すカギは“育成”と“信頼”
現場の力を取り戻すためには、人材の育成と信頼関係の構築が欠かせない。
職人が育ち、職長が増え、チームとして連携が取れる。
その土台をつくるのは、結局「現場を知る会社」だ。
- 若手を育てる仕組みづくり
- 協力会社との長期的な関係構築
- 一人ひとりの職人に技術と誇りを取り戻す環境
これらが整って初めて、“持続可能な建設現場”が成り立つ。
■ 数よりも、質。AIよりも、人。
「人手不足」と聞くと、数を増やすことに意識が向きがちだ。
だが、建設現場を支えるのはAIでもロボットでもない。
現場を理解し、信頼を築ける“人”こそが最大の戦力である。
🛠 編集後記
“人手不足”とは、“人材の質の低下”を意味しているのかもしれない。
数を集めるより、現場を支える“ひとり”をどう育てるか。
これからの建設業界は、そこにこそ未来がある。
この記事は、職人BIZサーチ編集部がお届けしました。
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